リロケーション・海外赴任で車はどうする?

海外赴任時のマイカーの取り扱いは、早めの検討が必要です。赴任の形態(単身・家族帯同)や期間に応じて、適切な選択肢が異なるからです。例えば、数年の長期赴任なら手放す、半年程度の短期なら残すといった判断が求められます。

本記事では、売却・保管・輸送・貸与という4つの選択肢のメリット・デメリットや手続きを解説し、ご自身の状況に合わせた適切な方法を見つけるサポートをします。

リロケーション時の選択肢は4つ

リロケーションに伴う車の取り扱いには、大きく分けて以下の4つの選択肢があります。それぞれの概要は以下の通りです。

  • 手放してすっきりさせる「売却」
    赴任を機に車を手放す方法です。維持費や管理の手間が一切かからなくなるため、海外赴任時によく選ばれる合理的な選択肢です。
  • 帰国後も今の車に乗る「保管」
    車に愛着があるときや、赴任期間が短く帰国後すぐに乗りたいとき、または日本に残る家族が乗る状況で選ばれる方法です。
  • 使い慣れた車を現地で「赴任先へ持っていく」
    日本のマイカーを海外の赴任先へ輸送して乗り続ける方法です。手続きやコストのハードルは高いですが、海外でも乗り慣れた車を使える利点があります。
  • 身近な人に貸与する「知人に貸す」
    信頼できる親族や知人に車を預け、貸与する方法です。廃車や売却の手続きを避けつつ、信頼できる人に管理を委ねられます。

おすすめは「車の売却」メリットと手続き

海外赴任やリロケーションの際に、多くの赴任者が選ぶのが「車の売却」です。その理由と、具体的な手続きの流れについて詳しく見ていきましょう。

売却のメリットと注意点

車を売却する大きなメリットは、維持費の削減と資産価値の低下防止です。駐車場代や自動車税、車検代、自賠責保険料といった維持費が一切かからなくなり、乗車しなくても年数が経つことによる型落ち(リセールバリューの低下)を防げるからです。

例えば、赴任中に何年も放置してしまうと、帰国時の車の価値は大きく下がってしまいます。愛着のある車を手放す寂しさや帰国後に再度購入する手間はかかりますが、出国前に売却して現金化しておくことが合理的です。長期の赴任であればトータルのコストパフォーマンスは売却が優れるため、おすすめの選択肢となります。

必要な書類とローン残債の確認【重要】

車を売却する際には、書類の事前準備とローン残債の確認が欠かせません。名義変更などの手続きをスムーズに進めるためであり、またローン支払い中の車は所有権が信販会社等にあることが多く、そのままでは売却できない事情があるからです。

具体的には、以下の書類一式が必要となります。漏れのないよう事前に準備を進めましょう。

  • 自動車検査証(車検証)
  • 自賠責保険証明書
  • 印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 実印
  • 自動車税(種別割)納税証明書
  • リサイクル券(預託されているもの)

※車検証の住所と現住所が異なる状況では、住民票の写しや戸籍の附票などが別途必要となります。

さらに自動車ローンが残っているときは「所有権解除」の手続きが必須となります。車の売却額でローンの残債を一括返済できるか、不足分を自己資金で補えるかを確認しなければなりません。これらの確認や準備を怠ると手続きが滞るため、計画的な行動を心がけてください。

【参考】国土交通省:自動車検査・登録ガイド(名義変更)
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/transfer/index.html

スケジュールの目安と出国後売却の落とし穴

車の売却手続きは、出国の2週間前までに査定を完了させるスケジュールを推奨します。出国後に日本に残した車を売却しようとすると、手続きが複雑で手間がかかるからです。

例えば、出国して日本の住民票を抜いてしまうと、印鑑登録証明書が取得できなくなります。そうなると、赴任先の在外公館(大使館や領事館など)に出向き「サイン証明(署名証明書)」を取得し、日本の親族等への委任状を作成といった、非常にイレギュラーな対応に追われます。引越し準備で直前は非常に多忙になるため、タイムラグや書類不備のリスクを避けるべく売却手続きは必ず出国前に完了させてください。

日本で「保管」するときの注意点と手続き

「帰国後も今の車に乗り続けたい」「希少な車なので手放したくない」という状況では、日本国内で車を保管することになります。ただし、単に駐車場に置いておくだけでは車の劣化が進む明確なデメリットがあるため、適切な手続きと管理が必要です。

一時抹消登録・保険の中断手続き

日本で車を長期間保管する際は、「一時抹消登録」と「保険の中断手続き」を行ってください。そのまま放置すると、乗っていなくても自動車税が課税され続け、無駄な出費となるからです。また、保険の等級を引き継ぐためにも中断手続きが求められます。

具体的には、国土交通省の定めに従い、公道の走行を一時的に休止する「一時抹消登録」の手続きを行って自動車税の課税を止めます。同時に任意保険(自動車保険)の中断手続きも行い「中断証明書」を発行しておくことで、帰国後に新しく保険に加入する際に以前のノンフリート等級(割引率)の引き継ぎが可能です。なお、ローンを支払い中の車を一時抹消登録するにあたり名義変更と同様に所有者(信販会社等)の承諾や許可が必要となるため、事前の確認が必要です。維持費を抑え帰国後の負担を減らすためにも、これらの手続きは確実に済ませましょう。

【参考】国土交通省:自動車検査・登録ガイド(一時抹消登録)
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/scrapp/

保管中のメンテナンスと専門業者の利用

車を長期間保管する際には、定期的なメンテナンスが不可欠です。動かさない状態が続くと、バッテリーの上がりのほか各部のゴムパーツの劣化やオイルの固着など、急速に状態が悪化するからです。具体的な対策として以下が挙げられます。

  • 個人で管理する:
    ガソリンを満タンにしてタンク内のサビを防ぐ、親族などに頼んで定期的にエンジンをかけてもらう
  • 専門業者を利用する:
    一般的なトランクルームや青空駐車場では適切な維持が困難なため、定期的なエンジン始動・洗車・バッテリー管理などを行う海外赴任者向けサービスを利用する

帰国時まで良好なコンディションを維持するためには、放置せず適切な管理環境を整えることが重要になります。

車を「持っていく」「知人に貸す」ときのハードル

「海外へ持っていく」「知人に貸す」という選択肢には、高いハードルが存在します。輸送には莫大な費用と法規制の壁があり、知人への貸与には深刻なトラブルのリスクが伴うからです。

  • 赴任先へ持っていくハードル
    車両の海上輸送費やコンテナ代、現地での関税などで数十万〜数百万円単位のコストがかかります。さらに、現地の排ガス規制や安全基準に適合させるための改修手続き、右ハンドル車の持ち込み規制など、各国の法規の壁をクリアしなければなりません。
  • 知人に貸すハードル
    無償であっても万が一の事故に備えて名義変更(移転登録)や自動車保険の契約変更が必須となります。これらを怠ると、事故発生時に所有者としての責任を問われたり、保険が適用されなかったりします。また、帰国時のキズや故障の有無を巡って、親しい関係に亀裂が入るリスクも孕んでいます。

会社からの特別な全額補助等がない限り、これら2つは現実的な選択肢とは言えず、慎重な判断が求められます。

まとめ

リロケーションに伴う車の取り扱いは、赴任期間や車への必要性を冷静に見極め、早めに方針を固めることが大切です。無駄な維持費や出国直前の慌ただしい手続きを回避できるからです。

手間や維持コストを抑えたいなら「出国前の売却」がおすすめです。一方で、帰国後も同じ車に乗りたいときは「一時抹消登録」を行い、専門業者や信頼できる人に「保管」を依頼しましょう。もし判断に迷う際は、まずは「無料査定」を受けて現在の車の価値を把握してみてください。具体的なシミュレーションが可能になり、適切な次のアクションへと繋げられます。

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