リロケーションとは
転勤などの理由で一時的に長期留守にする自宅を、期間限定で賃貸に出すことを「リロケーション」と言います。リロケーション会社に賃貸借契約や入居者対応などの管理を委託することで、手間なく家賃収入が得られる画期的な空家活用法です。
ここではリロケーションサービスを受けるためにかかる費用について説明しています。
リロケーションサービスを利用するためには当然ながら費用が発生します。最初に押さえておきたいのは申込み時に必要な費用、入居者が決定した時にかかる費用、契約終了まで毎月かかる費用に分けられることです。
では、それぞれ具体的にどんな費用がかかるのか整理してみましょう。
リロケーション会社によっては契約の更新料(家賃の半分/年)がかかる場合があります。また、入居者の過失によるものではない設備の故障などの修繕費用は基本的に貸主が負担します。
その他、送金手数料や撮影料など細々な費用が発生する可能性がありますので、できるだけ契約時に詳しく確認しておくことをおすすめします。
リロケーションにかかる費用は大きく分けて5種類。契約をしてからすぐにかかる「管理委託申込料」、入居者が入る前に「事務手数料」と「保証金」がかかり、入居者が決まった後は「管理手数料」「修繕費」がそれぞれ必要になります。
これらの費用について詳しく紹介しながら、見積もりについても見ていきたいと思います。
リロケーション会社が物件の所有者からの依頼を受けて本格的に入居者を募集する際、「管理委託申込料」を支払います。これは管理業務を依頼する際の着手金のようなもので、管理を委託するための費用ですから、会社が定める手数料として支払わなければなりません。
この手数料についてはあらかじめ料金が決められており、だいたい1万円前後としているところが多いようです。こちらで見積もりをする必要はなく、またリロケーション会社によっては費用が発生しないケースもあります。
少しでも安くリロケーションサービスを利用したい場合は、管理委託申込料0円としているリロケーション会社を選ぶと良いでしょう。
リロケーションが開始してからは「事務手数料」がかかります。リロケーション会社は、オーナーに代わって一切の事務手続きを代行します。
事務手数料は代行にかかる手数料と言い換えてもよく、入居者の審査や賃貸借契約の締結、トラブル発生時の対処などもすべてこの事務手続きに含まれます。
オーナーはリロケーションサービスを利用するあいだ、これらの業務を行なう必要がありませんが、手数料を払って代行をしてもらいます。代行を依頼する際、必ずこの事務手数料がかかってきます。相場としては賃料の1ヶ月分が目安となります。
賃貸借契約が終わった後の原状回復費用に使われる「保証金」も必須の費用です。こちらも賃料の1ヶ月分がおおよその相場。諸費用ではありますが、物件を原状回復する際に必要となる重要な料金です。
いよいよ入居者が決まり、契約をかわして住み始めた後は、リロケーション会社が管理を行なう際にかかる手数料として「管理手数料」がかかります。物件の管理にかかわる手数料で、賃料の10%前後が相場となっています。
賃料保証がオプションサービスとして付けられている場合、この管理手数料がさらに割高になる可能性も。リロケーション会社によってサービス内容には違いがありますので、事前にサービスの有無と手数料の額をチェックしておくようにしましょう。
物件の老朽化や災害などによる破損を受けた際には、元通りに使えるように修繕を行なう必要があります。ここで修繕にかかる費用がどの程度になるのか、事前にリロケーション会社とよく打ち合わせておくことが大切です。
リロケーションサービスにかかる費用は、会社によって異なるため事前に打ち合わせをしておく必要があります。管理費の見積もりだけでもしておけば、安心して貸し出すことができますね。
自宅を賃貸に出す際、どの程度の家賃に設定され、そこから管理費を差し引いた収入はどの程度になるかといった見積もりも忘れずに行ないましょう。
オーナーによっては、自宅を貸し出す期間が短い、あるいは長期にわたるといった可能性があるかと思います。
短期になるか長期になるか分からない、リロケーションサービスを利用する期間の目星がつかないといったケースでも、事前に相談を行なっておくことで最適なリロケーションの方法やタイミングがつかめるかと思います。
管理の方法や、実際の管理にかかる費用なども細かく聞いておけば、何にどの程度の出費が発生しているかが分かりますから、事前にしっかりと話し合っておくことをおすすめします。
以上のようにリロケーションでかかるほとんどの費用は家賃に連動していることがわかります。大きな負担となる管理手数料は家賃収入で賄えるため、マイナス収支の構造になることはありません。
家賃収入がどの程度の金額になるかは物件の状態や広さ、周辺環境によって変動しますが、注意したいのはリロケーション物件は一般的な物件よりも設定される家賃が低くなるということです。
入居者にとっては住める期間が限られてしまうので、条件としてはどうしてもマイナスポイントになるからです。
割合としては2年契約の場合で周辺物件より2割程度賃料が低くなり、契約年数が長くなればなるほど、その差は縮まっていくと考えてよいでしょう。
貸主の欲しい額から算出して家賃を高く設定してしまうと、入居者が見つからずに空室リスクを抱えることになりますので、経験豊富なリロケーション会社によく相談してから決めることが大切です。
リロケーションサービスには収入(賃貸収入)ばかりでなく、物件オーナーが支払う費用もあります。費用は税金とその他の必要経費に分けられます。どんな費目があるのか見ていきましょう。
固定資産税と都市計画税は、毎年、不動産の所有者に対して課せられる税金です。リロケーションを利用して物件を誰かに貸しても、所有者自体は変わらないため、毎年1月1日時点でその物件の所有者になっている場合は、固定資産税と都市計画税を納税しなければなりません。ただし、住居用の戸建て物件やマンションの場合、要件を満たすことで税額が軽減される特例措置もあります。
リロケーションサービスで得た賃貸収入は不動産所得となり、毎年、前年度の所得を計算して所得税を納めなければなりません。所得税額の計算式は以下のようになります。
所得税額={(不動産所得+給与所得など所得合計)ー所得控除額}×税率ー控除額
不動産所得は他の全ての所得を合算して申告する総合課税です。源泉徴収済みの給与所得があっても、不動産所得と合わせて所得金額を算出します。
建物修繕費とは、壁や床、設備などの汚れや損傷が起きた場合のメンテナンス費用のことです。借主の故意過失によるものは貸主負担ではありませんが、借主の故意過失を除く“通常の範囲の摩耗”については貸主負担となります。
貸主負担となる修繕費目は、畳の変色、日照によるフローリングの色落ち、冷蔵庫のサビ、タバコのヤニ、壁の画鋲・ピン等の穴、フローリングのワックスがけなどです。
建物修繕費は必要経費として認められ、修繕が完成した年度の経費として一括計算できます。
損害保険は借主が入居に際して加入する家財保険や火災保険が一般的ですが、物件の貸主も万が一に備えて損害保険に加入しておく必要があります。なぜなら、当該物件の空室期間中に隣の部屋で火災があり、当該物件に延焼して損害を受けても、隣の部屋のオーナーは当該物件のオーナーに賠償責任を負う必要はないからです。したがって、空室時のリスク管理として貸主も損害保険に加入する必要があります。
損害保険料も賃貸物件を運営するための必要経費として計上し、所得から差し引くことができます。
減価償却費とは、10万円以上の固定資産を取得した際、資産価値の目減り分を数年間にわたって分割して経費計上できる制度のことです。毎年一定額を経費として計上できるため、所得税や法人税の節約につながります。リロケーションでは原則として、毎年同じ金額を経費にする「定額法」で計算されます。想定される法定耐用年数で分割し費用計上を行うのが特徴です。
租税公課は、固定資産税や都市計画税、事業税、自動車税、印紙税、不動産取得税、登録免許税など、国や地方公共団体が徴収する税金です。これら租税公課のうち、リロケーションによる賃貸サービスに関連した納付は、経費として計上できます。