リロケーションとは
転勤などの理由で一時的に長期留守にする自宅を、期間限定で賃貸に出すことを「リロケーション」と言います。リロケーション会社に賃貸借契約や入居者対応などの管理を委託することで、手間なく家賃収入が得られる画期的な空家活用法です。
リロケーションとは、日本語で“移転”や“引越”という意味。分譲住宅を転勤や留守の一定期間、賃貸管理する業態の事をさします。分譲住宅を購入したものの、海外転勤などが理由で住むこと難しく2~5年程度の契約期間で貸し出しています。通常の賃貸物件のような「更新」もなく、賃貸期間が決まっているため通常の物件よりも家賃がお得なのも特徴です。
リロケーション物件は分譲マンションを一時的に賃貸できるものがほとんどです。分譲マンションは、買主が満足して一生住むことを前提に販売されている物件です。そのため、オートロックや防犯カメラなどの防犯システムや、床暖房やシステムキッチン、内装など家の設備が整っているのも特徴です。住宅は誰も住まないままにしておくと劣化してしまう事もあるため、買主不在の一定期間、手頃な価格でも貸し出しているほうが買主もメリットがあります。そのため同じようなグレードの住宅を、通常の賃貸物件で借りようとした場合より、お得な家賃で借りることができるのも大きな特徴です。
リロケーション物件に住むメリットは大きく4つ挙げられます。4つのメリットについて、それぞれ詳しくご紹介します。
①更新料が不要
通常の賃貸契約の場合、2年経過後に契約を更新する「更新料」が発生します。その際、新家賃の1ヵ月分を2年毎に支払います。リロケーション物件の場合のような定期借家契約の場合は、更新料という概念がありません。3年以上賃貸契約のリロケーション物件を借りた場合、通常の賃貸物件に比べ2年に1度発生する更新料がかからない分、お得に過ごせます。リロケーション物件の契約期間と、自分の賃貸期間の条件がマッチする物件を探すのも一つの手です。
②周辺の賃貸よりもハイグレードな住宅に住める
買主が一生の買い物で購入した分譲住宅を、一定期間借りることができるリロケーション物件。賃貸用の物件よりもしっかりとした造りで、細やかな設備まで整っています。リロケーション物件のほとんどが分譲マンションや注文住宅なので、賃貸専用の物件と比べるとハイグレードな住宅に住むことが可能です。実際に自分が物件を購入する前に、分譲住宅や分譲マンションの利点を確かめることができます。
③近隣の家賃相場よりも安く住める
リロケーション物件は、通常の賃貸物件と違い契約期間に縛りがあるため、相場の家賃よりも低い価格で設定されています。近隣の同グレードの賃貸物件の家賃相場より20%ほど低く設定されています。借りる側も決まった一定期間お得に家を借りることができるのが、一番のメリットです。リロケーション物件は分譲マンションや注文住宅がほとんどのため、賃貸物件よりハイグレードな物件が多く、それだけでもお得に過ごすことができます。
④入居審査が厳しいので、入居者の質が良く安心できる
通常の賃貸物件と違い、入居審査が厳しいのもリロケーション物件の特徴です。いずれ帰ってくる買主のために、住居を美しい状態を保つための入居条件を設けており、ペット不可や喫煙不可の住宅も多く存在します。そのため必然的にルールを守れる質の良い入居者が多くなります。一棟丸ごとリロケーション物件のマンションの場合は、近隣住宅に迷惑をかける入居所との再契約を拒否することもできる為、入居者の質を一定に保つことができます。
以上4つがリロケーション物件のメリットです。リロケーション物件は自分の契約期間と条件にあえば、最高の物件になる可能性を秘めています。
メリットを多く感じるリロケーション物件。もちろん、デメリットや注意点も存在します。安心してリロケーション物件を借りるために知っておくべきポイントを4つお伝えします。
①物件の更新ができない
リロケーション物件全般をさす定期借家契約は、基本的に契約期間が終了すると退去が必要となります。契約期間が満了するまでに次の物件を探し、引っ越さなければいけません。そのため、一つの物件に長く住みたい人には向いていません。リロケーション物件の中には再契約できる物件もありますので、契約時に確認をしましょう。
②原則的に途中で解約することができない
リロケーション物件は買主の合意がない限り途中解約をすることができません。その為、途中解約や明け渡しなどがある場合は違約金が発生するので注意が必要です。ただし延べ床面積が200㎡未満のリロケーション物件のみ転勤や介護など、やむを得ない事情がある場合解約できる可能性もあります。途中解約によるペナルティーを追う場合や、転勤などで引越の可能性がある方には不向きな物件です。
③入居の条件や審査が厳しい
入居条件のメリットにも上げた部分と同じですが、入居条件の厳しさは入居する側のデメリットにもなり得る部分です。リロケーション物件は買主が帰ってくる物件のため、入居条件が通常の賃貸物件より厳しくなっています。住居の状態が悪化する可能性がある喫煙やペットを不可条件にするものがほとんどです。入居後も物件を綺麗に使い、近隣住民に迷惑をかけず上手く付き合うことが可能な人が、入居条件の前提として挙げられるでしょう。
④契約期間があるため退去後の費用に注意が必要
契約期間中の家賃が、通常の賃貸物件より安く抑えることができるリロケーション物件。家賃面ではお得になることがほとんど。しかし、一定の契約期間があるため退去による費用が掛かってきます。次の住居を住み替える際に必要な敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し費用が自ずと発生します。短期間に何度も引っ越しを繰り返す場合は損をしてしまう場合もあるので、注意が必要です。
4つのデメリットは、どれもメリットと表裏一体になっているものがほとんど。数年以内に自分の住宅を購入することを予定している方や、決まった期間だけの転勤や一人暮らしで数年後にライフスタイルが変わる方に、向いた物件になっています。長期間同じ物件に住むことを前提の方には、向かない物件です。
入居者が決まりやすい物件といえば、新築もしくは築浅、またはリフォームやハウスクリーニングを行なっているきれいな物件です。
入居者の心理としては、やはりきれいであればあるほど好印象。特に水回りが新品に近いと清潔な印象を与え、入居を決める要因になる場合も。
物件内部の清掃はもちろんですが、リロケーションの前には設備を新しくすることも入居者を募る上で効果的です。
電車・地下鉄・バスなどの公共交通機関に近く、すぐ移動ができる立地にある物件も、リロケーションに向いている持ち家といえます。
交通機関以外のところでは病院やスーパー、コンビニエンスストアが近い物件も人気。坂道がなく平坦な場所や、治安のいい地域も人気があります。ファミリー層や女性の単身者、学生さんなど広く入居者を募集する場合は、周辺環境がチェックされることも頭に置いておきたいところ。
その他、バスと電車・電車と地下鉄などの乗り換えがスムーズな場所や、商業施設・公共施設・学校などの教育機関が近くにあるような物件も入居者にとっては魅力的です。
東京や大阪などの大都市では防犯対策を意識するのが基本です。すでに持ち家に万全な防犯対策を施している場合、それを強みとすることで入居者を募ることができます。
防犯カメラや玄関の人感センサー、窓のカギの二重ロック、割れにくい窓ガラスなど、防犯対策といってもさまざまな方法があります。安価にできる対策方法もあるので、リロケーションに出す前に対策をしておけば、女性や学生さんの入居者にとって魅力的な物件として打ち出すことができますよ。
近年、猫の飼育数が犬の飼育数を上回ったり、爬虫類などの珍しいペットが売り出されたりと、ペットとの暮らしが一般的になりました。
リロケーション物件についても、ペットが飼育できるような環境であれば、入居者にとっては魅力的に映ります。
特に猫を飼う場合、壁へのマーキングや傷をつけるおそれがあることから、そのようなトラブルに理解のあるリロケーション物件は注目されやすいといえるでしょう。
猫のための「キャットウォーク」や「猫ドア」など、猫の習性を考えた設備も非常に人気があります。ペット用の設備が取り付けられている物件は、「オーナーが動物の飼育に理解がある」とみなされるため、入居者にとって魅力的に映ります。
老朽化している物件や、設備が古く使い勝手の良くない物件については、入居者が集まりにくい傾向にあります。
キッチンやお風呂場などの設備は特にチェックされやすいポイントですが、他にも部屋の電気が切れている、壁や床の断熱性が低いといった設備の老朽化は敬遠される傾向にあります。
大きくて立派な持ち家でも、市内から離れているまたは公共交通機関から遠い場合には、入居者が募りづらい可能性が。
静かな住宅街にあり設備などがすべて整っている物件は魅力的ですが、交通の便に難があるとそれだけで生活しづらいと感じるケースも少なくありません。
リロケーションは通常2年から3年程度が目安となり、学生さんなど短期的に物件を借りたい方に人気があります。
しかし1年のみの短期的な条件下では、入居者はせっかく物件を借りてもすぐに出なければならないので、長く住みたい人にとっては条件に合わない可能性が。
短期でしか貸し出せない場合はその条件で募集をかけるしかありませんが、入居者が集まりづらいことは心得ておく必要があるでしょう。