マンション所有者が海外赴任時に確認したい納税管理人

海外赴任が決まり日本国内にマンションを残して出国する場合、税金の手続きをどうすべきか疑問に思う方も多いでしょう。日本を出国して「非居住者」となった後も、国内にある資産には税金が発生することがあります。そのため、海外赴任中もマンションを持ち続ける場合は、税務署からの書類受取や納税義務を適切に果たすために「納税管理人」を定める必要があります。

本記事では、納税管理人の重要性や役割、選任の手続きについて解説します。

海外赴任で納税管理人が必要なケース

納税管理人とは、海外赴任などの理由で日本国内に住所を持たなくなる納税義務者に代わり、日本国内での税金に関する一切の手続きを行う人のことです。海外に滞在している本人に代わって、税務署からの通知の受領や税金の納付といった重要な役割を担っています。国内にマンションなどの不動産を所有し続ける場合には、この納税管理人の選任が必要になります。

納税管理人の役割

納税管理人が代行できる具体的な手続きには、主に以下のようなものがあります。

  • 税務署や自治体から送られてくる税務書類や通知書の受領
  • 確定申告書の提出
  • 国税や地方税などの税金の納付
  • 過払いとなった税金の還付金の受領
参照元:e-Gov法令検索「国税通則法 第117条(納税管理人)」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000066

マンションを所有や賃貸する場合

海外赴任中に国内のマンションを所有し続ける場合、主に以下の2つのケースで納税義務が発生します。

  • マンションをそのまま所有し続けるケース:
    毎年の固定資産税や都市計画税の納税義務が引き続き発生します。
  • マンションを第三者に賃貸し、家賃収入(不動産所得)を得るケース:
    日本国内にある不動産の貸付による所得は、非居住者であっても日本国内で課税対象となるため、毎年確定申告を行って所得税を納めなければなりません。

海外赴任に伴う準備や手続き全般については、こちらの記事も合わせてご確認ください。

これらの税務を遠隔地から個人で対応するのは難しいため、納税管理人の選任が必要不可欠となります。

納税管理人の選び方と注意点

納税管理人になるための条件は、法律で厳しく定められているわけではありません。基本的には、日本国内に住所を持つ個人、あるいは日本国内に本店や事務所を構える法人であれば、特別な資格がなくても誰でも納税管理人になることができます。

選定要件と注意点

特別な資格が不要なため、日本に住む親族や信頼できる友人に納税管理人を依頼することも可能です。書類の受け取りや、用意された税金の納付といった簡易な事務であれば問題なく任せられます。

しかし、マンションを賃貸して毎年の確定申告が必要になる場合は注意が必要です。親族や友人が納税管理人になったとしても、他人の確定申告書を作成する業務は税理士資格を持つ人でなければ行えません。そのため、申告書の作成自体は海外からご自身で行って提出や納付のみを親族・友人に依頼するのか、あるいは申告書の作成から納税管理人の業務までをまとめて税理士に依頼するのか、業務範囲や相手の負担をしっかりと考慮したうえで選定することが大切です。

参照元:e-Gov法令検索「税理士法 第52条(税理士業務の制限)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066#Mp-Ch_9-At_117

滞納時のペナルティリスク

納税管理人を選ぶ際には、その信頼性を慎重に見極める必要があります。選任した納税管理人が手続きを怠ったり、期日を忘れて税金を滞納してしまったりした場合、「納税管理人が忘れていた」という理由は税務署には通用せず、ペナルティはすべて納税義務者本人に課されます。財務省および国税庁の規定に基づく具体的なペナルティの割合は以下の通りです。

  • 無申告加算税:
    期限までに申告がなかった場合、本来納付すべき税額に対して原則として15%、50万円を超える部分には20%(令和6年1月以後の申告等からは300万円を超える部分について30%)の加算税が課されます。
  • 延滞税:
    税金が期限までに納付されない場合、納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは原則として年7.3%、2ヶ月経過後は原則として年14.6%の延滞税が日割りで加算されます(※特例基準割合により、年によって実際の適用割合は変動します)。
参照元:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
参照元:国税庁「No.9205 延滞税について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htm

納税管理人の申請と解任の手続き

海外赴任に伴って納税管理人を定める場合は、出国前に適切な手続きを完了させておく必要があります。具体的には、本人の納税地を管轄する税務署へ「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」を提出します。この手続きは、原則として日本を出国し非居住者となる前までに済ませておく必要がある点に注意してください。

また、海外赴任の任期が終了して日本へ帰国した際には、納税管理人を解任する手続きを行います。選任時と同様に、税務署へ解任のための届出書を提出することで、再び本人が直接納税手続きを行う状態に戻すことができます。

まとめ

海外赴任でマンションを所有・賃貸する場合、納税管理人の選任は日本の税務を円滑に進めるために重要です。納税管理人は親族等にも依頼できますが、必要とされる税務知識や万が一の滞納リスクがすべて本人に課される点を考慮し、慎重に選ばなければなりません。予期せぬペナルティを避けるためにも、ご自身の状況に適した人物を選任し、出国前に確実に申告・納税の体制を整えておくことが重要です。

参照元:国税庁「No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任(手続き)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1923.htm

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