海外赴任で持ち家を貸す場合の住民票と手続き

海外赴任が決まり、持ち家を貸し出して家賃収入を得る場合、住民票や税金の取り扱いについて悩む方は多いでしょう。本記事では、海外赴任時の住民票の手続きの原則や、住民票の有無による住民税への影響、不動産収入がある場合の税金ルールについて詳しく解説します。

海外赴任時の住民票手続きの原則

海外赴任時に住民票をどのように扱うべきかは、滞在予定期間によって原則的なルールが定められています。ここでは、期間ごとの基準や手続きについて詳しく解説します。

1年以上の赴任なら「国外転出届」を提出する

海外での滞在期間が1年以上になる予定の場合、生活の拠点が海外に移ったとみなされるため、お住まいの市区町村へ「国外転出届」を提出し、住民票を抜く(除票する)のが原則です。住民基本台帳法により、国外転出をする場合はあらかじめ(出国前に)届け出る義務があり、多くの自治体では出国予定日の約14日前から手続きが可能です。正当な理由なく届出を怠ると過料に処される規定があるため注意が必要です。赴任期間が1年を超える場合は、出国前に余裕を持ってお住まいの自治体窓口で手続きを行いましょう。

海外滞在が1年未満の場合

滞在期間が1年未満の短期滞在や、一時的な出張にとどまる場合は、生活の拠点が引き続き日本国内にあるとみなされます。この場合、国外転出届の提出は義務付けられておらず、住民票の異動手続きは不要となるのが一般的です。

住民票を抜く・残すの判断基準と注意点

持ち家を残して海外へ行く際、住民票を抜くか残すかの基本は「1年以上の滞在になるか」が基準となります。ただし、単身赴任で家族が日本(持ち家)に残り続ける場合などは、世帯全体の生活の拠点がどこにあるかによって扱いが変わるケースもあります。自治体によって判断基準や運用が異なる場合があるため、ご自身の状況に合わせて手続きを進めることが大切です。詳細は管轄の自治体へご確認ください。

持ち家を貸し出して不動産収入がある場合の税金

持ち家を他人に貸し出して家賃収入(不動産所得)を得る場合、日本国内での所得が発生するため、海外赴任中であっても税金のルールを正しく理解しておく必要があります。

住民税は「1月1日時点」の住民票の有無で決まる

税金の中で特に住民票の有無と深く関わるのが「住民税」です。住民税は、前年の所得に対して課税され、その年の「1月1日時点」に日本国内に住民票があるかどうかで支払い義務が決まります。
もし赴任期間が1年以上で、前年のうちに国外転出届を提出し、1月1日時点で日本に住民票がない状態であれば、その年の住民税の支払いは原則として不要になります。逆に、1月1日時点で日本国内に住民票が残っている場合は、たとえ年の途中で海外へ出国したとしても、その年度の住民税の支払い義務が生じます。家賃収入などで前年に一定の所得があった場合、住民票を抜くタイミングによって税負担が大きく変わるため、出国日と1月1日の関係には十分留意してください。
※ただし、すでに課税が決定している前年度分の未払い住民税については、出国後も引き続き納付する必要があります。

参照元:総務省「地方税制度 個人住民税」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_03.html

不動産収入があれば所得税の確定申告が必要

国外転出届を提出して住民票を抜き、住民税が非課税になった場合でも、日本国内にある持ち家を貸し出して得た不動産の賃料収入に対しては、日本での「所得税」が発生します。海外居住者(非居住者)であっても、国内源泉所得がある場合は毎年確定申告を行い、所得税を納める必要があります。

参照元:国税庁「No.2875 居住者と非居住者の区分」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm

固定資産税の支払いは継続される

持ち家を所有している限り、家賃収入の有無や住民票の有無に関わらず、固定資産税・都市計画税の納税義務は継続します。海外赴任中も毎年納税通知書が発行されるため、支払い漏れがないよう準備が必要です。

参照元:総務省「地方税制度 固定資産税」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html

海外から手続きを行うための「納税管理人」

海外赴任により日本国内に住所を有しなくなる方(非居住者)が、日本国内で確定申告や固定資産税の納税を行う場合は、原則として「納税管理人」の選任・届出が必要となります。
納税管理人は、日本不在の本人に代わって税務署や自治体からの書類の受け取りや納税手続きを担う役割を果たします。手続きのタイミングや対象者などの詳細は、管轄の税務署や自治体へご確認ください。

その他確認したい手続き

国外転出届を提出する場合でも、マイナンバーカードをお持ちの方は、出国前に窓口で手続きを行うことで国外転出後も継続利用が可能です。また、健康保険や厚生年金などの社会保険、介護保険の加入状況や切り替え手続きについても忘れずに確認しておきましょう。手続きの詳細は勤務先や自治体によって異なる場合があります。

まとめ

海外赴任時に持ち家を貸し出す場合、1年以上の滞在予定であれば「国外転出届」を提出して住民票を抜くのが原則です。住民税は「1月1日時点の住民票の有無」によって支払い義務が決まるため、出国時期の確認が重要となります。また、日本国内で不動産収入がある場合は非居住者であっても確定申告が必要となり、固定資産税などの支払いも続くため、あらかじめ納税管理人を選任しておくなどの準備が不可欠です。本記事を参考に、赴任前に適切な手続きを行いましょう。

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